昼間の喧騒の中、抑えられていた何かが、ひょっこりと顔をだして、僕に色んな事を教えてくる。
忘れてもいいような事を思い出して、悲しくなったり、嬉しくなったりすんだ。
何年前かの秋口。
僕は毎日、きっちりと0時になったら布団に入って、12時まで寝ていた。
12時間、途中で起きる度に、夢の続きが知りたくて、二度寝三度、四度寝位した。
12時に起きたらタバコを吸って、外に出かける。
誰かと連絡がつくまで、海を見たり、山に行ったり、川を見に行ったり、車の中で本を読んだりしていた。
夕方を過ぎると、大体みんな目を覚まして、どこかへ出かける。
映画を見たり、ご飯を食べたり、カフェに行ったりしていた。
ギターのコードも知らない頃、先輩の弾くギターと歌が本当にかっこいいと思った。
ちょっとの贅沢をしようと、お酒と葉巻を買って、交互にふかして、よく分からないねといったり。
冬が来る度に、昔付き合っていた彼女の誕生日を思い出して、彼女の事がまだ好きだと駄々を捏ねた。
男だけで夜景スポットに行って、申し訳ないと縮こまった。
イルミネーションを見に行って、申し訳ないと縮こまった。
毎日、楽しかった。いつか終わると分かっていたけど、それが全ての生活で、多少の不安をこぼしながらも、僕らは小さい車の中で、音楽を聞いて満足していた。
どんな時間を過ごしても、現状にはいつも不満しかなくて、そんなの分かってるけど、過ぎた頃の時間は、本当に綺麗だ。
時は流れて、もうそんな事は出来そうに無いのだけれど、また当てもなくフラフラして、くだらない話をして、誰が最初にこの生活から抜け出すかなどと、話し合いたい。
同じタイミングで、それぞれの事をやり始めたのは、ただ毎日一緒に過ごしていた訳ではないのだなと思う。
今年もいよいよ夏が終わったんだと、少し寂しい気持ちである。